夢 (2011~2012)

どこの何者でもない。

俺は死に、幽霊になった。

見知らぬ日本の街に住んでいるが、何事にも気付かれる事はなく、ただ上からなんとなく生きている人々を見つめるだけだ。それが仕事ではない。仕事はなく、たんたんと見つめているだけである。

 

幽霊になった当日の夕方、二人で帰る高校生を見つけた。

そこは灰色のコンクリート?っぽい壁に、そんなに傾いてはいない坂があった。

坂は途中で折り返し、坂の下は街があった。

それは、夕陽に照らされて少し暗く、そして夢の中でありながらとても記憶に残る美しい光景だった。

 

俺は二人で帰る高校生に話しかけたが、無視される。見向きもされないし、無視されているような感覚になる。っていうか無視されて当然であろう。

俺は幽霊だし、彼らは生きている。俺は「無」と一体化したから、彼らは無を認識できないのは当然だ。声も発しているのに、振動が伝わらない。っていうか、振動が起こらない。

心の中で話しかけても、なにもおこらない。なにも通じない。全て、有るのに無い。俺は上から話しかけて、有ると認識されなくて、泣いてしまった。そのまま泣いていても、誰からも話しかけられる事もなかった。そして彼らは街の中に入っていった。

 

数時間後、俺は街を旅していた。「無」なのに、街を歩いていて不思議な気分だった。お風呂も覗いた。俺は人間が必ず通る死を認識した。俺は他の人についていって、人生を見るという快感に浸ることを覚えた。

 

=夢はここで終わりである=

夢から覚めた後、俺は何分も余韻に浸かった。